人も蟲も、在るように在る。「蟲師」レビュー - アニオタくんの気ままにアニメレビュー

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皆様こんにちは！アニオタです。本日は、2005年から放送された、漆原友紀原作の「蟲師」のレビューをいたします！
軽いネタバレもあります！最後までぜひ読んでいってください！

動画が特別編のものになってしまいましたが、無印・続章・特別編全体の感想になります！

「蟲師」のあらすじ

「蟲」それは動物でも植物でもない、生命の原生体。本来棲む世を隔てたヒトと蟲とが重なる時、人智を超えた妖しき現象がうまれ、ヒトは初めてその存在を知る。すべての生命は、他をおびやかすために在るのではない。ただ、それぞれが在るように在るだけ―。
dアニメストアより引用

映像について

アニメーション制作はアートランドという会社です。大変申し訳ありませんが存じ上げませんでしたので調べてみたのですが、どうやら現在はアニメーションの制作は行っていないようです。アニメーション業界は厳しいって結構聞きますよね・・・。過去の制作した作品を調べてみたのですが、「家庭教師ヒットマンREBORN!」とか入っててうわああああ懐かしいいいい！！ってなりました笑。獄寺くん作画崩壊とか思い出してしまう・・・蟲師は映像すごくきれいでしたけどね！

蟲師は、内容が暗い、というか落ち着いているので、アニメーションも落ち着いた色合いで構成されています。彩度が高いと、なんとなくさわやかな印象がプラスされてしまいますが、蟲師のストーリーはさわやかさはほぼなかったです。むしろ少しドロドロしたような、陰鬱な雰囲気さえあります。

「蟲師」の感想（若干ネタバレあり）

子供のころの記憶を呼び起こす、わらべ歌のような作品

私アニオタは、蟲師の原作コミックスも読んだことがあるので、シンプルに懐かしさを感じて、見てよかったと思いました。

「懐かしい」というのも、原作を読んだ時の記憶がよみがえって懐かしいと感じるのと同時に、子どものころ不思議に思ったこと・感じたことが詩的に表現されていて、個人的に感じる「懐かしい」と、誰もが持っている原風景のような「懐かしい」が混ざりあった、すごい不思議な感覚になりました。耳をふさいで溶岩の流れるような音が聞こえるとか、瞼を閉じた状態でまた瞼を閉じるとか、本当に子どものころとかに試したなぁ。全然別の作品ですが、CLAMPの「XXXHOLiC」で「夜爪を切ってはいけない」についての話読んでから爪切りにくくなった時のことも思い出しました笑。蟲師の世界だったら、こういうのを遊びでやったら蟲につかれたりするんですかね・・・。

昔のわらべ歌や伝承って、その時はこういう状態で、これをやるとこういう悪いことが起きるからやっちゃダメみたいな、現代では解決しているものも多くあるとは思うのですが、言い伝えを慢心して破ったりするとまた蟲につかれるんでしょうね・・・。原作を読んでいた時は『不思議なことは起きる、昔の世界観の話』くらいの感覚でしたが、よく考えると結構残酷なことも起きるし救いのある話も多いので鬱アニメのジャンルに入るんでしょうか。

異種族との共存の難しさ

蟲師には、動物でも植物でもない蟲と呼ばれる異形のものが各話登場します。蟲は意思があるわけではなく、ただ元来の性質によって人間に害を与えてしまう存在です。

アニメを見ていて思ったのですが、作品上では「蟲」によって「人間、動物、植物」が害されるという構図でしたが、これは現実での「人間」と「自然」の構図に似ているような気がします。人間が生活していくため自然を破壊していくことがありますが、それは人間が”壊したい”と思って行っているわけではなく、自分たちが快適に生きていくための環境整備の工程として行われています。蟲が人間に危害を加えるのはこれと同じで、害することは目的ではないわけです。生きるための活動をしていたら、たまたま人間に害があったわけで。

別の生き物であれば、やっぱり目的を共にするのも難しいです。違った目的を持った種族がどのようにして共存していくのか。これは、人間として生きてく上で、常に考え続けなければいけないなと感じました。

「特別な力」は、実力とは違うということ

蟲師は一話完結の形で様々な蟲についてのストーリーが展開します。話によっては、蟲につかれたものは悲惨な結果を迎えている場合もあります。だいたいは、自分についた蟲の力を自分の力のように使い続け、最終的にどうにもならなくなってしまった感じです。

もし自分に特別な力があったら、自分が生きやすいようにどんどん能力を使ってしまうかもしれません。しかし、それは蟲が持っている力であり、たまたま何も問題がないだけであって、本来は共存するのは難しい存在です。害があるものだと知る前はまぁ仕方がないですけどね・・・。

ギンコも「蟲が見える」、そして「蟲を引き寄せる」という特異体質ですが、彼はそれに慢心しているわけではなく、淡幽のところやほかでも蟲の知識を得、蟲を害することだけを選ぶわけではなく、できる限りうまく共存する努力をしていましたね。この両者を見ると、たゆまぬ努力は、自分の身を守ることになるんだなぁと。生涯学習って言いますしね。自分ももっと勉強しなければ・・・。

一番好きなキャラクターは「ギンコ」

一番好きなキャラクターはギンコです。各話で共通の登場人物がギンコしかほぼいないですからね。

でも彼の肩の力を抜いて、柔軟な考えを持てる性格はとても好ましいと思います。蟲に対しても人間に対しても、まず最初は落ち着いて話を聞き、状況を把握する。状況を把握してから、どのように対処するのがよいか、人間も蟲もそれぞれがあるべき姿になるためにどうするか考える。他人を否定しない姿勢を見て、なんとなくですが、理想の上司の姿という感じもします・・・。

ギンコは何歳なんですかね。なんか見た目に対して話し方が年配の方みたいな印象があって、それも彼の落ち着いた内面が表れていて好きです。

話数でみると結構最初の段階で左目が無くなってしまいましたが、あのあと新しい義眼は入れたのかな。毎話出てくるからなんとなく知った気になってましたが、改めて考えるとギンコは謎しかないキャラクターですね。なんとなく魅力を感じてしまうのは、秘密が多いから逆に気になる・・・みたいな少女漫画みたいな思想からくるものなんでしょうか・・・。